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同一労働同一賃金推進法
[ドウイツロウドウドウイツチンギンスイシンホウ]

「同一労働同一賃金推進法」とは、「同じ価値の仕事には同一の賃金水準を適用すべき」という同一労働同一賃金の原則に基づき、正社員と派遣社員との賃金や待遇の格差を是正するための法律のことです。正式名称は「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律」。2015年9月9日の参議院本会議で可決・成立し、公布日の同16日から施行されました。
(2015/11/26掲載)

同一労働同一賃金推進法のケーススタディ

派遣と正社員の格差是正の実効性は不透明
人事を一変させる小さいけれど大きな一歩!?

今年9月に施行された「同一労働同一賃金推進法」をめぐっては、もともと衆院段階で労働者派遣法改正案の対案として民主、維新などの野党3党が共同提出していましたが、与党が維新と協議を行って修正案を再提出、これが可決されるという経緯がありました。修正の結果、事業主への法的拘束力が弱まり、同一労働同一賃金の原則から正社員と派遣社員との賃金格差の解消に資するという当初のねらいは後退したといわれています。

可決された法案では、当初案の「職務に応じた待遇の均等の実現」という記述が「業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度その他の事情に応じた均等な待遇及び均衡のとれた待遇の実現」に変更されています。「責任の程度や事情に応じた」という表現が加わったことで、実質的に同一賃金にしなくてもよいという個別解釈にいたる可能性があります。

また、当初「施行後一年以内に講ずる」とされた法制上の措置についても、「三年以内に法制上の措置を含む必要な措置を講ずるとともに、当該措置の実施状況を勘案し、必要があると認めるときは所要の措置を講ずる」に変更され、実効性は不透明に。時間的猶予に加え、内容の制限や、場合によっては措置を講じないという選択も可能となっています。野党などが「本来の法案の精神を骨抜きにするもの」だと批判するゆえんです。

とはいえ、たとえ骨抜きであったとしても、同一労働同一賃金を推進する趣旨の法律ができたこと自体の意味や影響は、けっして小さくないでしょう。日本は、先進国の中で唯一、同一労働同一賃金の取り組みで大きく遅れをとっている国なのです。08年には経済協力開発機構(OECD)から、正社員と非正規社員との格差を是正する旨の勧告を受けたこともあるほど。この新法をきっかけに同一労働同一賃金導入の流れが強まれば、日本企業の人事政策は、従来の制度やしくみの変更を迫られることになるかもしれません。

派遣法改正をめぐる議論でも、派遣社員と正社員の賃金格差が前提となっているため、派遣社員を正社員化することが“正義”という固定観念に縛られがちですが、日本に同一労働同一賃金の原則が定着し、賃金格差が是正されれば、その風向きも変わるでしょう。

また先頃、トヨタ自動車が工場勤務の社員に対し、定年後も65歳まで定年前と同水準で処遇する新しい再雇用制度方針を、来年から導入すると発表しました。現状、多くの企業では、60歳で定年再雇用されると賃金水準が大幅にダウンしますが、実際には59歳が60歳になったとたん、急激に能力が劣化するわけではありません。欧米なら、年齢差別として訴えられ、企業側が負けるおそれもある制度なのです。同一労働同一賃金の原則が徹底されれば、当然、年功賃金や定年再雇用制度などにも波及することは避けられないでしょう。

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