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「入社・退職時」の手続き

(1)入社時に必要な手続き

●労働条件の明示

毎月の給与計算以外にも、従業員の入社や退職があった時には、給与計算を開始・終了するための手続きが必要となる。

従業員を雇い入れる際、「労働基準法第15条1項」により、以下に示した賃金や労働時間などの労働条件の明示が義務付けられる(絶対的明示事項)。これら労働条件については「雇用契約書」に盛り込むか、「労働条件通知書」など書面で交付することが求められている。

【労働条件における絶対的明示事項】
  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 就業の場所および従事すべき業務に関する事項
  3. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに交代制で就業させる場合の就業時転換に関する事項
  4. 賃金(退職手当および臨時の賃金は除く)の決定、計算および支払いの方法、賃金の締切りおよび支払いの時期並びに昇給に関する事項
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

●社会保険の資格取得に関する手続き

新入社員が入社した場合、社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)の資格取得に関する手続きが早急に必要となる。

【社会保険への対応】
健康保険、厚生年金保険 入社後5日以内に、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を日本年金機構 事務センター、または健康保険組合、厚生年金基金に提出する。また、扶養家族がいる場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」とその証明書も合わせて提出する。その際、配偶者を扶養している場合には、「国民年金第3号被保険者資格取得届」の提出も必要になる。
雇用保険 入社した日の翌月10日までに、「雇用保険被保険者資格取得届」を所轄のハローワークに提出する。その際、添付書類として「賃金台帳」「労働者名簿」「出勤簿(タイムカード)」などが必要になる。また、新入社員が以前他の会社に勤務し、雇用保険の被保険者だった場合は「雇用保険被保険者証」を本人から預かって、提出する。

●税金関係の手続き

税務関係の手続きに関しては転職者の場合、以下の点に注意が必要である。

【税金への対応】
源泉所得税 最初の給与締切までに、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらう。また前職の会社から「源泉徴収票」が発行されているはずなので、それを提出してもらい、年末調整の際に処理を行う。
住民税 転職者が住民税を「普通徴収」から「特別徴収」への切り替えを希望する場合、「普通徴収から特別徴収への変更依頼書」を、本人が居住する市区町村へ提出する。自治体から新たな「納税通知書」が送付されるので、そこに記載されている住民税額を毎月控除して納付する。

(2)退職時に必要な手続き

●社会保険の資格喪失に関する手続き

従業員が退職した場合、社会保険に関して行う手続きは以下の通りである。

【社会保険への対応】
健康保険、厚生年金保険 退職日の翌日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を「健康保険被保険者証」と一緒に、日本年金機構 事務センターまたは健康保険組合、厚生年金基金に提出する。その際、健康保険被保険者証は扶養家族の分も返納する。
雇用保険 退職した日の翌日から10日以内に「雇用保険被保険者資格喪失届」を所轄のハローワークに提出する。また、退職者が「離職票」の発行を希望する場合には、「離職証明書」およびそれを作成するために必要な「賃金台帳」「出勤簿」「離職理由を確認できる書類」も合わせて提出する。

●税金関係の手続き

退職時における税務関係の手続きは、以下の通りである。

【税金への対応】
源泉所得税 退職から1ヵ月以内に本人に対して「給与所得の源泉徴収票」を交付する。
住民税 住民税の納付先である市区町村に「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を、退職日の翌月10日までに提出する。ただ、既に転職先企業が決まっており、特別徴収を継続する場合には、新しい勤務先に提出する。

●退職金の控除計算

退職時に退職金が支給された場合、税金(所得税・住民税)が発生する。これについては、支給時に源泉徴収して納付する必要がある。なお、退職時にかかる税金は「分離課税」で行うので、他の所得の額にかかわらず、課税対象や税率が決まる。

【退職金への対応】
所得税 課税対象となるのは、退職金の総額から「退職所得控除額」を引いた額の2分の1であり、退職所得控除額は勤続年数によって決まっている。退職金から控除した源泉所得税を、翌月の10日までに税務署に納付する。なお、退職金の総額が退職所得控除額より少ない場合は課税されず、控除も不要である。
住民税 課税対象の算出方法は、所得税と同様である。退職金から控除した住民税は、翌月の10日までに「退職金が支給された年の1月1日に居住していた市区町村」に納付する。

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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