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家族手当
[カゾクテアテ]

配偶者や子供のいる社員に対して、基本給とは別に支給される手当です。会社によって金額に違いがありますが、配偶者に1万円程度、子供(1人)には5000円程度が支給されるケースが多いようです。欧米の企業では給与は基本給が主体で、家族手当にあたるものは見当たりません。日本独特のシステムと言えそうです。
(2004/10/25掲載)

家族手当のケーススタディ

定年を65歳まで延長すると同時に<br />「家族手当」の廃止に踏み切った松屋

百貨店の松屋は1998年、定年を65歳まで延長するに際して、賃金制度のあり方を大きく見直しました。そして、他の百貨店にさきがけて家族手当の廃止に踏み切っています。昨年から今年にかけて、キャノンや日本IBMなど多くの企業が成果主義型の賃金制度の下で家族手当の廃止や見直しを決めましたが、松屋はそのずっと前に実行していました。

ではなぜ、松屋は家族手当を廃止したのか?
「社員に扶養家族――妻や子供がいるというだけで給与がたくさんもらえるのはおかしい」。社内でそんな声が上がったことも理由の一つだと言います。働く人はだれも、給与の金額によって評価を受ける。給与が上がったときは自分の仕事が評価されたということであり、それが働く意欲の維持や職場の士気にもつながる。しかし家族手当とは「仕事が評価されなくても給与を割り増ししてもらえる」システムであって、これをもらえない独身の社員にしてみたら働く意欲がしぼんでしまう――というわけです。

これまで数万円支給されていた家族手当がなくなって、家計が苦しくなった社員もいるでしょう。でも松屋では「社員から不満は出ていません。給与は職務・業績をもとにフェアに決められるんだという理解が広がって、生き生き働く社員が増えました」と言います。家族手当として支給されていた金額を、見直しした賃金制度の原資に組み込んで、そして社員の仕事の実績が給与に反映するシステムをきちっと構築したからです。

ただ、松屋以後に家族手当の廃止を決めた企業の中には、人件費削減の一環として拙速に実行したところも少なくないようです。手当をたくさんつけて、その代わり基本給を低く抑える賃金制度を採っていた企業も少なくないので、そうした企業の社員にすれば家族手当の廃止は泣くに泣けない話です。

松屋では、家族手当廃止を決めるまで10年も話し合いを続けました。それを言い出したのは、社員の給与を決める経営者サイドではありません。給与をもらう側の社員たち――労働組合のほうが提案して労使協議を進めたのです。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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