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年末調整の仕方

(1)対象者の確認

●年末調整とは

イメージ月次給与や賞与は「源泉徴収税額表」により、所得税を計算する。しかし実際には、その合計額は月次給与や賞与総額に対して納めなければならない総額(年税額)とは一致しないのが通常である。この“不一致”を精算するため、1年間(1月1日~12月31日)の給与や賞与の総額が確定する年末に、その年に納めるべき税額を正しく計算し、それまでに徴収した税額との過不足を求め、その「差額」を徴収、または還付することが必要になる。これが「年末調整」である。

●対象となる人・ならない人を確認する

年末調整は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員全員が対象となるが、退職などによって対象とならない人も出てくる。対象となる人・ならない人については、以下の点から確認を行う。

【年末調整の対象になる人・ならない人】
対象になる人
「12月に行う年末調整の場合」
  1. 1年を通じて勤務している人
  2. 年の途中で就職し、年末まで勤務している人
「事由発生時に行う年末調整」
  1. 死亡により退職した人
  2. 海外の子会社などに1年以上の予定で転勤した人
  3. 著しい心身の障害のために退職した人(年内の再就職により、賃金を受ける見込みのある人は除く)
  4. 12月に支給されるべき賃金などの支払いを受けた後に退職した人
  5. 短時間労働者が退職した場合で、本年中に支払いを受ける賃金の総額が103万円以下である人(退職後、本年中に他の勤務先等から賃金の支払いを受ける見込みのある人は除く)
対象とならない人
  1. 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人、提出できない人(乙欄適用者)
  2. 「災害免除法」の規定により、その年の賃金に対する所得税、復興特別所得税の源泉徴収について、徴収猶予や還付を受けた人
  3. 会社が1年間に支払う賃金総額が2000万円を超える人
  4. 年の途中で退職した人で、上記「対象となる人」の3、5、6、7に該当しない人
  5. 非居住者
  6. 日雇労働者など(日額表の丙欄適用者)

(2)必要書類の準備

●11月中に必要書類の配布・回収を済ませておく

年末調整を行うためには、以下の書類が必要となる。通常は12月の月次給与で年末調整を行うため、11月中に書類の配布・回収を済ませておくことが望まれる。

【年末調整で必要となる書類】
  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(必須)
  2. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(任意)
  3. 給与所得者の保険料控除申告書(任意)
  4. 住宅借入金等特別控除申告書(任意)

(3)年末調整の計算

●最終的にマイナスなら還付、プラスなら徴収を行う

対象者の確認と必要書類が揃ったら、以下の計算手順ステップに従って、年末調整の計算を進めていく。ステップ6の最終段階でマイナスとなれば還付となり、プラスなら徴収ということになる。還付や徴収は12月給与支払時に行うことを原則としているが、処理が間に合わない場合は、翌月1月に支払う月次給与で行ってかまわない。

【年末調整の計算手順ステップ】
1.「給与・賞与収入金額」を求める 「給与・賞与の総支給額」-「非課税の収入金額」
2.「給与所得金額」を求める 「給与・賞与収入金額」-「給与所得控除額」-「所得金額調整控除額」
3.「課税所得金額」を求める 「給与所得金額」-「所得控除」
4.「算出所得税額」を求める 「課税所得金額」×「税率」-「速算表による控除金額」
5.「年調所得税額」を算出する 「算出所得税額」-「住宅所得控除」など
6.「年調年税額」を決定する 「年調所得税額」×102.1%(*)
*「復興特別所得税」を加算

(4)源泉徴収票の作成

●提出・交付用に4種類を作成する

年末調整の計算が終わった後、源泉徴収票を作成する。源泉徴収票とは、会社が支払った給与所得などの必要事項を記載した書類である。作成に当たっては、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」及び「源泉徴収簿」から転記を行う。複写式の用紙の場合は、通常、「1枚目・2枚目:給与支払報告書(市区町村提出用)」「3枚目:源泉徴収票(税務署提出用)」「4枚目:源泉徴収票(本人交付用)」の4種類を作成するが、これら4枚は、書式が異なるだけで記入する数字はほとんど同じである。

(5)必要書類の提出

●税務署・市区町村へ提出する書類

年末調整が終了し、源泉徴収票を作成した後、税務署へ提出する書類には以下のものがある。

【税務署へ提出する書類】
  1. 給与所得の源泉徴収票
  2. 退職所得の源泉徴収票
  3. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  4. 不動産の使用料等の支払調書
  5. 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  6. 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
  7. 法定調書合計表(上記1~6の数字を転記したもの)

一方、市区町村に対しては、「給与支払報告書(2枚)」を提出するが、その際には総括表を添付する。総括表には、会社の所在地や報告人員などの必要事項を記入し、代表印を押す。ここまでの手続きを踏むことで、住民税の「特別徴収通知」が6月までに届く。これによって6月から1年間、12ヵ月に分けて徴収することが可能となる。

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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