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年俸制
[ネンポウセイ]

従来の年功序列制に代えて個人の職務能力や勤務成績に応じて年間の賃金を決定する能力給制度。日本では管理職を中心に浸透しつつあります。定期昇給という概念はなく、前年度の働き具合に応じて、増俸、据え置き、減俸が決まります。

年俸制のケーススタディ

月給に相当する「基本年俸」<br />成果に対する「業績年俸」

これまでの日本の企業は年功序列を人事制度の中核に置いてきました。しかし終身雇用制の崩壊により、社内の若い人材を発掘・育成したり、社外から優秀な人材を登用したりできるような新たな体制づくりが急務となっています。そうした状況の中で、働くことによって生み出される成果に対して、賃金を支給する制度が検討されるようになり、今日では1年程度の業務遂行期間を評価して賃金を決定する、いわゆる「年俸制」を採用する企業が相次いでいます。

年俸制といえばプロ野球選手や為替ディーラーなどをイメージしがちですが、日本の企業が採用している年俸制は、従来の賃金制度との調整から、月給に相当する「基本年棒」と成果に対する「業績年俸」の2本立てにしている場合が多いようです。

カルロス・ゴーン社長の陣頭指揮でV字回復を遂げたと言われる日産自動車では、2002年4月、管理職層2200人を対象に年俸制を導入しました。これまで5段階あった等級を「部次長クラス」と「課長クラス」の2つのジョブランクに大別したうえ、基本年俸には各等級の役割ごとに年俸バンドを設け、プロセスを加味した貢献度評価によって毎年昇降給する仕組みです。また、業績年俸は単年度インセンティブとなっており、数値目標に基づくコミットメント(必達目標)とターゲット(より高度な達成目標)の達成度合いによって支給額が決まります。

年俸制を導入するには、(1)仕事の成果を客観的に評価できる制度が確立していること(2)従業員の理解が得られていること(3)従業員が自分の達成した成果を経営トップや上司に正当にパフォーマンスできる資質を持っていること、などの条件が整っていることが前提です。

年俸制のデメリットとしては、従業員が自分の業績にとらわれるあまり、組織全体の業績向上への配慮を失う傾向が生じることです。また一部に賃金の抑制を目的として年俸制を導入する企業もありますが、これは本来の年俸制の意義をはき違えたものと言わざるをえず、従業員の大きな反発を招きかねません。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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