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配偶者同行制度
[ハイグウシャドウコウセイド]

配偶者が転勤になった場合、その随伴のための転勤を認める制度。夫の転勤に妻も「同行」することで、妻が退職せずに済む、というメリットがあります。妻の転勤に夫が同行するパターンは、今のところ、ほとんど見られません。

配偶者同行制度のケーススタディ

夫の転勤に合わせて妻も転勤できる制度<br />優秀な女性を獲得したい企業が導入中

結婚・出産に続き、女性が会社を辞める理由として大きいのが、夫の転勤です。「配偶者同行制度」は、夫の転勤による妻の退職を防ぐために発案されました。夫がA社で働いていて、東京から大阪に転勤になった場合、妻の勤めるB社に大阪支店があればそこへ転勤させて、夫に同行できるようにするというものです。「配偶者」ということから、女性の転勤に、男性が同行するケースも可能となりますが、現実にはほとんど逆のようです。

既婚女性の場合、夫の転勤によって退職を余儀なくされると、今まで積み上げてきたキャリアが途切れてしまうことになります。仮に、妻が転勤先で新たな仕事を探したとしても、数年後、また夫が再び転勤すれば、妻はせっかく就職した職場を、また離れなければなりません。

保険会社の日本興亜損保は2005年9月、子育てしながら働ける環境づくりとして、配偶者同行制度を導入しました。従業員の半数が女性ということから、退職しても復帰できる環境づくりとして、退職3年以内であれば復職できる「Uターン制度」など、ユニークな制度も導入しています。また、東京海上日動火災保険では2004年、遠距離恋愛の末に結婚したり、夫が転勤したりした場合、本来なら転居を伴う転勤のない「地域型従業員」でも転勤を申し出ることができる「Iターン制度」を導入しました。

女性の力を経営に生かそうという考え方は、今ではあらゆる企業に浸透しています。この配偶者同行制度を使えば、転勤後の妻たちも、継続して同じ企業で働ける安心感を持つことができ、企業側にとっても、会社のノウハウや会社の商品知識をもった人材を、そのまま別の営業所でも生かすことができます。同時に、企業はこの制度を打ち出すことで、女性にとって長く働きやすいとして会社をアピールでき、優秀な女性を獲得するためのPRにもなります。

ただ、配偶者同行制度はどの企業にも、同じようなメリットをもたらすわけではありません。この制度を利用できる企業は、配偶者と同じエリアに支店・支社があることが条件になります。また、どうしても業務に汎用性がある仕事に限られてしまいます。同行を望む従業員が、専門性に特化した仕事を担当している場合、次の転勤先でスキルに合う職場がなければ、異動が難しくなります。

類似した制度に、大手商社の丸紅は「配偶者転勤休業制度」を導入しています。これは配偶者の海外転勤に同行する場合、休職扱いになり、帰国後復職できる制度です。丸紅では、夫が丸紅の社員でなくても、この制度を利用することができます。復職すれば休職前までの勤続年数を引き継ぎ、年金や退職金などの面でも不利になることがありません。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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