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専門家コラム

第111回 運賃改定と社会保険

2023-09-11 テーマ: 人事給与アウトソーシング

2023年の春に、多くの路線でJRや私鉄の運賃が値上げされました。運賃の値上げ対象となっている路線を通勤に使用している方は、定期代も変更になっていると思います。

 

給与計算の実務担当者等から「運賃値上げや引越し等によって通勤交通費が変更になった場合にいつから通勤費を変更すれば良いかわからない」といった質問をいただくことがあります。

今回は、通勤交通費の変更のタイミングと社会保険料の改定についてみていきたいと思います。

 

<給与への反映について>

定期券代を支給しているケースでは、1ヶ月定期券代で支給する会社や6ヶ月定期券代で支給する会社など、支給方法は会社によってまちまちです。また、定期券代の現物を確認してその金額を支給する会社もあれば、現物確認はせずに毎月定額を支給する会社もあります。

 

どの方法が良いのかは、会社の考え方次第ですが、統一したルールで運用することが重要です。人によって対応方法が異なると不公平感が出てしまい、後々にトラブルに発展することがあります。

 

それでは、給与計算上、交通費を変更するタイミングについてみていきましょう。

たとえば、給与の締日が15日、給与支払日が25日の会社で4月1日に定期代が値上げしたとします。この場合、3月16日から4月15日までの定期代を4月25日に支払っていることになります。理論上は、3月15日までに1ヶ月定期券を購入しているはずなので、4月25日に支給する通勤費は旧定期券代を支給することが原則です。

 

ただし、くり返しになってしまいますが、法律で支払い方法が定められているわけではありません。原則に縛られるだけでなく、締め日の定期代(新運賃)で支給することも、あるいは改定日前後で日割りにすることもできないわけではありません。

 

<随時改定について>

交通費は固定的給与になるため、運賃が変更になると、社会保険料の変更手続きを行う必要が出てくる可能性があります。

 

固定的給与とは、稼働や能率に関係がなく、支給額・支給率が決まっているもので、具体的には基本給、通勤手当、家族手当、住宅手当、役職手当、勤務地手当などがあげられます。

時給制や日給制のアルバイトなどの場合は、勤務実績により毎月の支給額が変動しますが、この場合の固定的給与は、その計算のもととなる時給額や日給額、日額で支給している通勤費の単価のことを指します。

 

一方、非固定的給与とは、稼働実績などで支給されるもので、具体的には、残業手当、皆勤手当、能率手当、日直手当、歩合給などがあげられます。これらの非固定的給与のみの変更の場合では、随時改定は行いません。

随時改定が行われるのは、固定的給与の変動(昇給・降給、給与体系の変更、基礎単価などの変更)があった場合に限られます。

 

社会保険料の算出のもとになる標準報酬月額は、毎年1回行われる定時決定によって、1年間使用されます。しかし、その間に給与改定が行われて給与額に大幅な変更があったときは、実態とかけ離れた保険料になってしまいます。

そこで、給与額と標準報酬月額が乖離しないように、一定の要件に該当した場合については、定時決定とは別に標準報酬月額を改定(随時改定)することになっています。

 

随時改定を行う場合とは、以下にあげた3項目のすべてに該当したときです。

1 固定的給与が変更になったこと

2 変動月から連続3ヶ月間の支払基礎日数が17日以上であること

3 上記3ヶ月間の給与の平均額と標準報酬月額に2等級以上の差があること

 

随時改定の対象となった場合の実際の給与計算業務では、固定的給与が変更になった月から数えると、4ヶ月後(当月徴収)や5ヶ月後(翌月徴収)に保険料が変更になります。随時改定は手続きの漏れや、手続きはきちんとしたにもかかわらず給与計算に反映しなかったなどというミスが発生しやすいので注意しましょう。

 

通勤費だけで2等級以上動くことはあまりないと思いますが、その間の残業が多かったりすると総額では月額変更の対象となることがあります。

なお、先ほどの例で4月25日の給与では新旧運賃の日割り、5月25日の給与から新運賃の定期代を支払った場合では、満額が支給された5月25日が固定的給与が変更になった月とみなされます。

 

 

多くの交通機関の運賃が3月に値上がりしました。3月に定期代が変更になり、4月に昇給があったとすると、両方の月とも随時改定の対象になる可能性があります。

実務担当者は、手続きの漏れや給与計算への反映に誤りがないようにしましょう。

鈴与シンワート株式会社 人事給与アウトソーシングS-PAYCIAL担当顧問
経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。
(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。

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