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振替休日
[フリカエキュウジツ]

「振替休日」には、大きく分けて労働基準法上の振替休日と、カレンダー上の振替休日があります。このうち、労働基準法上の振替休日の意味を理解していないと、給与計算を間違えたり、トラブルになったりすることがあります。また、休日の割増賃金が発生する「代休」との違いについての理解も欠かせません。これらは賃金の増減に関わってくる事柄であるため、しっかりとした知識を身につけておく必要があります。

1. 労働基準法上の「振替休日」

「振替休日」と「代休」との違い

労働基準法上の「振替休日」の意味を簡単にいうと、休日と労働日の交換です。特に重要なのは、労働基準法上の振替休日とは、出勤する日と、振り替えて休む日が「事前に」決定されている点にあります。

それとは異なり、休日に急に出勤が発生したため、その分の休みを「事後に」取ることを「代休」といいます。「代休」には「休日出勤」が伴います。

※正確にいうと「代休」は明確な定義が与えられていませんが、ここでは一般的な意味に則って「代休」の意味を解説しています

「休日出勤」とは、土曜日と日曜日のどちらか、あるいは両方に出勤するという意味でよく用いられますが、正確には「休日と予定されていた日に働くことになった」場合のことをいいます。つまり、振替休日のように休日と労働日の交換が「事前に」予定されている場合は、たとえ土日に働いたとしても、単に予定されていた労働日に働いたというだけでで、使用者に休日の割増賃金を支払う義務は発生しません。

しかし、「代休」のように休日だとされていた日に急に働いた場合は、事情が異なります。この場合は、事前に休日と定められていた日に働くことになったため、休日の割増賃金を支払わなければなりません。

この違いを理解していないと、「土日に働いたのに休日手当が出なかった」「振替休日は休日手当が出ないのだから、代休でも出ないのだろう」などと労働者が誤解し、トラブルが起きかねません。労働者にはきちんと説明しておくことが重要です。

運用上の注意

「振替休日」と「代休」の運用上の注意点は、法定休日と法定外休日の違いを考慮するかどうかにあります。現在の労働基準法が使用者に義務づけているのは、週に一度の休日を労働者に与えることと、一日8時間以上・週40時間以上の労働には割増賃金が発生すること、法定休日に労働をすれば(いわゆる休日出勤)別の割増賃金が発生することです。

つまり、労働の義務がある日に週40時間以上働かせていないのであれば、週一の休みでも割り増し手当は支払わなくてもよい、ということになります。しかし、このような考えは労働者とのトラブルのもとになりかねません。一般的な慣習に則って、週二日をまるまる休日扱いとする方が親切でしょう。当然、休日の規定に関しては、就業規則や契約書に明記し、会社の方針を周知させておく必要もあります。

運用上の注意―年次有給休暇の問題

「振替休日」や「代休」について理解するためには、次のような例を押さえておく必要があります。

年次有給休暇を取得した日に急な出勤を命じた場合、休日出勤手当の35%の割増賃金は、支払わなくてもよいと法律で定められています。年次有給休暇を取得した日は単に労働が免除された日であって、労働基準法上の「休日」に当たらないためです。

そもそも、労働基準法上の「休日」とは「もともと労働の義務がない日」であり、労働の義務がないのにもかかわらず労働した場合に、35%の割増賃金が発生します。年次有給休暇を取得している場合は、もし出勤しても「もともと労働の義務があった日に普通に出勤して労働した」という解釈になります。

ただし、年次有給休暇を使ったことにはならないため、年次有給休暇の取得日数にはカウントされません。「休日」の扱いについては、このようにルールをきちんと押さえておく必要があります。

余計なトラブルを避け、働きやすい環境を整えるためにも、「振替休日」「代休」に関する知識をしっかりと押さえておきましょう。

参照:振替休日と代休の違いは何か。|厚生労働省

2. カレンダー上の「振替休日」

カレンダー上の「振替休日」とは、日曜日に祝日が重なってしまった場合に、別の日を休みにすることをいいます。これも事前に平日と休日を交換するという方法で振替休日とされています。

この振替休日は、主に月曜日になることが多いのですが、その理由は国が「「国民の祝日」が日曜日に当たるとき、その日の後の最も近い平日を休日とする」と定めているためです。なお、土曜日と祝日が重なってしまっても、振替休日にはならないので注意が必要です。

振替休日を会社の休日にする義務はない

労働基準法上は、カレンダー上の「振替休日」を企業の休日としなければならないという決まりはありません。そのため、月曜日の振替休日に授業をする大学もあれば、労働日とする企業もあります。それぞれの組織の方針によって異なるため、休日の方針については、就業規則や契約書で、あらかじめ周知しておく必要があります。

運用上の注意

休日に関する制度は、意外と複雑なものです。カレンダー上の「祝日」や「振替休日」は、労働日にしても法律上の問題がないため、一部には労働日と定めている企業もあります。しかし、特殊な業界でない限り、祝日や振替休日を会社の「休日」にした方が良いでしょう。休みを世間と合わせることで、不満の少ない環境づくりに貢献するはずです。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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