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社員の入社・退社時の実務

給与計算は毎月定期的に行われる実務ですが、社員の入社や退職があった場合には、給与計算を開始したり、逆に終了したりする手続きが必要になります。この章では、給与計算に関連する入社・退社時の事務手続きについて説明していきます。

入社時に必要な事務手続き

労働条件の明示

社員を雇い入れる場合には、賃金や労働時間といった労働条件を明示しなくてはならないと労働基準法により定められています。この労働条件は、「雇用契約書」に盛り込むか、あるいは「労働条件通知書」などの書面で交付することが必要です。

その際、最低限必要な項目が「絶対的明示事項」とされ、以下の各項目となります。

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 就業の場所および従事すべき業務に関する事項
  3. 始業および終業の時刻
  4. 所定労働時間を超える労働(残業・休日出勤)の有無
  5. 休憩時間・休日・休暇に関する事項
  6. 就業時転換(交替勤務)に関する事項(シフト勤務がある場合)
  7. 月例給与に関する事項(決定、計算、支払方法・締切日・支払日)
  8. 退職に関する事項(解雇に関する事項を含む)

社会保険の資格取得手続き

イメージ●健康保険・厚生年金保険
新入社員が入社した場合、5日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を社会保険事務所、または健康保険組合、厚生年金基金に提出します。この届には基礎年金番号や氏名などが正しく記入されているかどうか、年金手帳などと照合して確認します。

また、扶養親族がいる場合には「健康保険被扶養者(異動)届」とその証明書もあわせて提出します。配偶者を扶養している場合には、「国民年金第3号被保険者資格取得届」の提出も必要です。

●雇用保険
新入社員が入社した日の翌月10日までには、「雇用保険被保険者資格取得届」を管轄のハローワークに提出します。添付書類として、前職の会社での「雇用保険被保険者証」の他、「労働者名簿」「出勤簿(タイムカード)」「賃金台帳」「雇入通知書(雇用契約書)」などが必要です。

ただし、1週間の所定労働時間が20時間未満で、6カ月以上雇用する見込みがない場合には、この対象となりません。

税金関係の事務手続き

●源泉所得税関連
最初の給与支給日までに、必ず「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を新入社員本人に提出してもらいます。この申告書がないと、扶養親族等の数を把握できず、源泉所得税の額を決定できないからです。

仮に、この申告書がないと、税額表の「甲欄」ではなく「乙欄」が適用されてしまいます。乙欄に従った税額はかなりの高額ですので、この手続きを忘れると新入社員本人にとっても不利益になってしまいます。担当者はしっかり注意したいところです。

また、前職の会社から退職時に「源泉徴収票」を発行されているはずですので、それを受け取って保管します。年末調整の時に、すでに源泉徴収されている所得税や社会保険料の額を参照する必要がありますので、これも忘れてはいけません。

●住民税関連
転職者の場合、前職の会社を退職する際に、まだ支払っていないその年の住民税の残額を「一括徴収」にするか「普通徴収」にするかを選択しているはずです。

「一括徴収」を選択している場合には、その年の住民税はすでに払い終わっていますので、新たに給与から控除する必要はありません。

「普通徴収」を選択している場合は、そのまま本人が住民税を納める普通徴収を継続するか、給与からの控除する「特別徴収」に切り替えるかをさらに選択できます。

会社の方で手続きが必要になるのは、特別徴収への切り替えを希望された場合のみです。その場合は、「普通徴収から特別徴収への変更依頼書」を、社員が居住する市区町村に提出します。それを受け取った自治体からは、新たな「納税通知書」が送られてきますので、そこに記載されている住民税額を毎月控除して納付することになります。

退職時に実用な事務手続き

社会保険の資格喪失手続き

●健康保険・厚生年金保険
社員が退職した場合には、退職日の翌日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を、「健康保険被保険者証」と一緒に、社会保険事務所、または健康保険組合、厚生年金基金に提出します。健康保険被保険者証は、本人分だけでなく扶養親族の分も、交付された枚数をすべて返納します。

●雇用保険
社員が退職した日の翌日から10日以内に、「雇用保険被保険者資格喪失届」を管轄のハローワークに提出します。

退職する社員が「離職票」の発行を希望する場合には、「離職証明書」、およびそれを作成するために必要な「賃金台帳」「出勤簿」「離職理由を確認できる書類」もあわせて提出します。離職票は、退職者が雇用保険から失業給付を受ける際に不可欠なものですので、速やかに用意できるようにしておく必要があります。

税金関係の事務手続き

●源泉所得税関連
退職から1カ月以内に「給与所得の源泉徴収票」を本人に対して交付します。退職者が、再就職する場合には、新しい会社に提出し、年末調整の際に利用されます。また、再就職しない場合にも、確定申告の際に必要になります。

●住民税関連
住民税のうち未払い分をどうするかは、退職者が選択できます。本人が自分で自治体に納付する「普通徴収」か、残額を一括で給与や退職金から控除する「一括徴収」のどちらかですが、退職日が1月1日から4月30日までの場合は、原則的に一括徴収となります。

住民税の納付先である市区町村には、「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を、退職日の翌月10日までに提出します。この書類は、住民税の納付書とともに毎年送られてきます。

ただし、すでに転職先企業が決まっており、新しい会社で特別徴収を継続する意向が固まっている場合には、「給与所得者異動届出書」を市区町村ではなく新しい勤務先企業に提出します。

退職金からの控除計算

イメージ退職時に退職金を支給することはよくあります。この退職金にも税金(所得税・住民税)がかかりますので、支給時に源泉徴収して納付する必要があります。 退職金にかかる税金は「分離課税」であり、他の所得の額に関わらず課税対象や税率が決まります。

●所得税の計算
課税対象となるのは、退職金の総額から「退職所得控除額」を引いた額の、さらに2分の1です。
退職所得控除額は、勤続年数によって決められています。

  • 勤続20年以下:40万円×勤続年数(最低額は80万円)
  • 勤続20年以上:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
    ※(例)勤続25年の場合:1150万円

退職金の総額が退職所得控除額より少ない場合には課税されず、控除も不要です。課税退職所得がある場合には、その額を「退職所得の源泉徴収額の速算表」に当てはめて算出します。ただし、退職者が「退職所得の受給に関する申告書」を会社経由で税務署に提出済みであることが条件となります。 仮に、この申告書が提出されてないと一律で20%を源泉徴収することになります。

退職金から控除した源泉所得税は、翌月の10日までに税務署に納付します。

●住民税の計算
課税対象の算出方法は所得税の場合と同じです。退職金の総額が退職所得控除額より少ない場合には課税されず、控除も不要です。

課税退職所得がある場合には、それに「市町村民税(特別区民税)6%」「道府県民税(都民税)4%」の税率を乗じて税額を求めます。退職所得から控除するのは、この税額にさらに「10%」を乗じた「特別徴収すべき税額」となります。

退職金から控除した住民税は、翌月の10日までに「退職金が支給された年の1月1日に居住していた市区町村」に納付します。

その他

●源泉徴収票の交付
退職者には、1カ月以内に「給与所得の源泉徴収票」を交付します。
退職者が転職した場合には、新しい勤務先に提出し、年末調整の際に利用されます。また、再就職しなかった場合には、確定申告の際に必要になります。いずれにしても、速やかに交付できるように準備することが大切です。

●年末調整
基本的に退職者の年末調整を行う必要はありませんが、「年末調整」の例外のケースでは年末調整が必要になります。

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